Gapに見る価格の表現とブランドイメージ
心地よさから、はじめよう。Comfortable together
こんにちは!横浜在住のコピーライター中本タカシです。
職業柄、外出した時には街中のコピーをチェックするのが習慣になっています。
最近、気になったのが冒頭の写真にもあるGapの
新キャンペーンに伴うメッセージでした。
ボディコピーも含めて掲載してみたいと思います。
心地よさから、はじめよう。Comfortable together
気分よくいられるとき、人は大きな力を生み出せる。
だからGapが追求したいのは、心地よさ。
いつも快適でいてほしいから、品質へのこだわりは譲らない。
もっと気持ちよく買いものしてほしいから、新しい体験を創造する。
いつでも気分よく手にとってほしいから、価格を一新する。
ひとりひとりの心地よさを、大切にしよう。
みんなが気分よく、自分らしく輝けば、
世界はもっと明るくなるはずだから。
メッセージのテーマとなっている「心地よさ」。
衣類で連想される心地よさを言えば、
品質の良さからくる“着心地”なのでしょうが、
それ以外にも新しい体験(品揃えや機能面?)の心地よさ、
価格面での心地よさがメッセージでは綴られています。
店頭には、こんなサイネージ広告も掲出されていました。
いつでも心地よい新価格 Comfortable Price
そう、Gapが新メッセージで一番に訴えたかった
心地よさとは、価格の心地よさだったのでしょう。
たしかに、Gapといえば、店舗で常にセールが開催され、
新商品が即座に値下げされ…「本当の価格って、いくらなの?」
「Gapはセールになってから買えばいいや」という思いを
多くの方が持っていることと思います。
ささっとネットの検索ワードを調べてみても、
「Gap 高い 安い」「Gap 値段おかしい」「Gap いつもセール」
などのワードが出てきました。
こうした消費者の不満とも言える気持ちを打破するための
キャンペーンであり、メッセージだったのでしょう。
実際にどんな意図があるのだろうかと調べてみると、
やはり価格を中心とした改革がテーマとしてあったようです。
「アイテムやカテゴリーによって値下げ幅は異なるが、全体的におおよそ3~4割値下げする。ジーンズの中心価格は、従来の6990~7990円から3990~4990円となる。実際にこれまでお客さまが払っていた価格に近いので、(売上高に)大きな違いはない。今回のキャンペーンはアジア向けであり、中国でも同様に価格は変えていく。」
上記、“新価格”に関するGap・CEOのコメントで、
気になった点を抜粋してみました。
読み解くと一応、品質は変えずに価格を下げるみたいです。
顧客の購入価格や売り上げに大差がないことがわかったから、
値下げの決断に至ったという発言が正直すぎるというか…。
本当に素材や縫製などが劣悪なものになっていなければいいですけど…。
Gapは従来の6990~7990円の商品が、
セールで2990円〜1990円になることだってあるので、
やはりどこか信頼できないというか。
本当に本当の値段っていくらなの?という感じです笑
価格の一新を、“心地よさ”と表現し、主題にした本メッセージ。
パッと見だとカッコイイんですけど、今までのGapにあった
「Gap 高い 安い」「Gap 値段おかしい」「Gap いつもセール」
といったブランドイメージを思い浮かべると、ダサいというか、
潔くない逃げのメッセージにもなってしまっているような感じがしました。
書いたコピーライターさんはめちゃくちゃ苦労しただろうなと思いますが。
価格の表現の王様といえば、やっぱり無印良品。
ずっと、良い値。ずっと、見直し。
素材の選択、工程の点検、包装の簡略化は、
1980年から変わらない無印良品の原則です。
くりかえし点検することで、
日々のくらしを支える日用品を最適な価格で、
この先もずっと提供しつづけます。
やっぱり無印良品には、
「いつでも買っていい」という安心感があります。
それはコピーに書いてあることを、
そのまま丁寧にコツコツと続けてきたからでしょう。
やってきたことをそのまま嘘偽りなく語れる
ブランドは、強いな〜と感じます。
まぁGapと無印良品で、アメリカ資本の会社と日本の会社、
ファッションブランドとライフスタイルブランドという、
文化や業態の微妙な違いも影響しているかとは思いますが。
ヴィンテージGAPやオールドギャップにヒントあり?
ややGapをディスり気味な記事になってしまっていますが、
私自身、Gapは好きで、割とヘビーユーザーだったりします笑
夏によく履く短パンや取材用の細めパンツは定番で、
ボーダーのTシャツとかも割と好きです。
やっぱりコスパいいんですよね笑
そんなGapですが、最近はヴィンテージGAPやオールドギャップ
という言い方で、古着のGapが注目されたりもしているようです。
私自身、古着も好きだったりして、持っている私服の8割は古着、
いわゆるヴィンテージデニムは10本近く保有しており、
古着屋巡りをライフワークとしています。コロナ禍の最近は行けてないですが、
その分、暇を見つけては古着屋さんのインスタアカウントで商品を物色しています。
そんなインスタ古着パトロール中にも、
たまに見かけるのがヴィンテージGAPやオールドギャップです。
主に90年代の商品なのですが、デザインとか抜群に面白いんですよね。
古着って「ものが悪そう」と抵抗感を持たれている方も多いと思うんですが、
生地とか縫製とかはむしろ昔の方が今より全然いいんですよね
(これ古着屋さんの常套句)。
(けど、実際に手で触ってみてみると、本当に違いがわかります。)
そんなヴィンテージGAPやオールドギャップが
シャツ1枚5000円〜1万円とかで売られていたりするのです。
なんか考えものですよね。ただ、昔にあった良さ、
そして今改めて注目されている良さがどこにあるのかと
見つめ直してみると、何かヒントがあったりするんじゃないかなと思ったりしました。
っていうか、Gapの良さや打ち出すべきイメージって、
やっぱり心地よさより、“セール”なんじゃないですかね笑
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